こんにちは、yasuです。
ハードボイルド探偵アドベンチャーの金字塔、「探偵 神宮寺三郎」シリーズ。
今回は、その原点とも言える作品が詰まった『アーリーコレクション』の中から、シリーズ屈指の名作と名高い『時の過ぎゆくままに』をレビューします。
新宿歌舞伎町を舞台に繰り広げられる、大人だからこそ味わえるビターな物語。今なお色褪せないその魅力をご紹介します。
プレイ時間とボリューム:濃密に凝縮された「読む映画」
本作のプレイボリュームは、現代の長編RPGやオープンワールドゲームと比較すれば、決して長時間拘束されるものではありません。しかし、その中身の密度は驚くほどに濃密です。
想定プレイ時間は、じっくりとテキストを読み込んで進めた場合でおおよそ3時間から5時間程度。これは、休日に腰を据えて一気にプレイするにも、毎晩少しずつ小説を読み進めるように楽しむにも最適な長さです。
「アーリーコレクション」という形での復刻ですが、単なる古いゲームの移植と侮るなかれ。無駄な引き延ばしが一切ない洗練されたシナリオ構成は、まるで質の高い映画を一本見終わったかのような、心地よい疲労感と満足感をプレイヤーに与えてくれます。短すぎず長すぎない、物語への没入感を維持できる絶妙なボリューム感こそが、本作の大きな魅力の一つと言えるでしょう。

ゲーム内容:複雑な人間関係が織り成す重厚な展開
物語は、神宮寺探偵事務所に持ち込まれた「盗まれた絵画の捜索」。そして、「一匹の犬」という、一見何も結びつかない事柄がキーポイントになります。調査を進めるにつれて、無関係に見えた事象が少しずつ、そして確実に一本の線へと繋がっていきます。
本作の特筆すべき点は、単なる謎解きに留まらない、複雑な人間関係が織り成す重厚な展開にあります。登場人物たちは皆、過去に何らかの傷や秘密を抱えており、彼らの想いが交錯することで事件は予想もしない方向へと転がっていきます。
システムは往年のコマンド選択式アドベンチャーですが、その不便さを感じさせないほど、プレイヤーを惹きつける演出が秀逸です。新宿の街を足で稼いで情報を集め、タバコを吹かして推理を整理する。そんな「探偵としての所作」そのものがゲームプレイの核となっており、プレイヤーは完全に神宮寺三郎その人となって、哀愁漂う事件の真相へと迫っていくことになります。

感想:一匹の犬を軸に描かれる切ない物語に涙
クリア後に訪れたのは、言葉にできないほどの深い余韻でした。ハードボイルドというと、冷徹で乾いた世界観を想像する方も多いかもしれませんが、本作の根底に流れているのは温かい「愛」と「優しさ」、そして逃れられない「時」の流れへの哀愁です。
特に印象的だったのは、物語の鍵となる一匹の犬を軸に描かれる切ない物語の側面です。単なるペットやマスコットとしてではなく、登場人物たちの心の拠り所として、あるいは過去と現在を繋ぐ重要なファクターとして描かれるその存在が、涙を誘います。犬と人との絆、そしてその視線の先にある真実が明らかになった時、タイトルの『時の過ぎゆくままに』という言葉が持つ真の意味が胸に迫り、目頭が熱くなりました。
ジャズを基調としたBGMも素晴らしく、セピア色の思い出を想起させるようなメロディが、プレイヤーの感情を優しく、時に激しく揺さぶります。派手なアクションやCGがなくとも、テキストと音楽、そして行間を読む想像力だけでこれほどまでに心が震える体験ができるのだと、改めて気付かされました。

総評:色褪せない名作を、今こそ
『探偵 神宮寺三郎 時の過ぎゆくままに』は、探偵アドベンチャーゲームという枠組みを超えた、極上のヒューマンドラマです。複雑に絡み合った人間模様が解きほぐされていくカタルシスと、その後に残る一抹の寂しさは、このシリーズでしか味わえない特有の体験です。
レトロゲーム特有の画面の古さはあるものの、本質的な物語の面白さは現代のゲームにも全く引けを取りません。むしろ、余計な装飾がない分、物語の骨太さが際立っています。ミステリー好きはもちろん、心に残る物語を求めている全ての方に、自信を持っておすすめできる一作です。時を超えて愛されるこの名作に、ぜひ触れてみてください。
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