【SFC摩訶摩訶レビュー】奇想天外な物語と愛すべきバグ！唯一無二の怪作RPGを徹底解説

こんにちは、yasuです。

スーパーファミコン全盛期、数々の名作RPGが生まれる中で、ひときわ異彩を放つタイトルがありました。その名は『摩訶摩訶』。一見すると王道のRPGに見えますが、その実は常識を覆す展開の連続です。「バカゲー」「怪作」と呼ばれながらも、なぜかプレイヤーの心に強く残り続けるこのゲーム。今回は、奇妙で愛おしい『摩訶摩訶』の世界を、その魅力的な要素と共に振り返っていきます。

プレイ時間とボリューム：クリアまでの道のりは、まさに摩訶不思議な冒険の連続

本作のプレイボリュームについてですが、RPGとしては標準的な長さと言えます。スムーズに進めば15時間から20時間程度でエンディングを迎えることができるでしょう。昨今の100時間を超えるような超大作に比べればコンパクトに感じるかもしれませんが、体感時間はそれ以上に濃密です。

なぜなら、単なる移動やレベル上げの時間でさえも、予期せぬイベントやユニークな会話が頻繁に発生するため、プレイヤーを飽きさせないからです。マップの広さやダンジョンの数も適度でありながら、一つ一つの密度が非常に高いのが特徴です。「次は一体何が起こるんだ？」とワクワクしながら進めていると、あっという間に時間が過ぎ去ってしまう、そんな不思議な没入感を持ったボリューム感と言えるでしょう。

ゲーム内容：前世の因縁と、物語以上に奇怪な敵たちが織りなすカオス

『摩訶摩訶』の最大の魅力は、なんといってもその奇想天外な物語です。主人公は前世でシャバシャバ族のシャルム王子だったという設定ですが、現世ではなんと両親がミジンコにされてしまうトンデモ展開からスタートします。そこから始まるのは、悪の組織「マカマカ団」との壮絶かつシュールな戦いの日々。

そして、このゲームを語る上で外せないのが、物語以上に奇怪な敵たちの存在です。道中で遭遇するモンスターたちは、既存のファンタジーRPGの常識を軽く飛び越えています。どこか見たことのあるような見た目の敵や、あからさまなダジャレを効かせた敵、さらには言い表せないような敵たち。デザインの自由奔放さは芸術的ですらあります笑。シリアスなはずの戦闘シーンでも、敵の姿を見るだけで思わず吹き出してしまう。そんなユーモアと狂気が入り混じった世界観こそが、本作の真骨頂なのです。

感想：予測不能な展開と「愛すべきバグ要素」が生む奇跡

実際にプレイしてみた感想を一言で表すなら、「常識を捨てて楽しむ遊園地」のような体験でした。システム面では古き良きコマンド選択式RPGを踏襲していますが、演出面でのサプライズが止まりません。主人公が変身能力を使えるようになったり、仲間になるキャラクターが個性的すぎたりと、とにかくプレイヤーを驚かせようとするサービス精神に溢れています。

そして、本作を伝説たらしめているのが愛すべきバグ要素です。通常、ゲームにおけるバグはネガティブな要素ですが、『摩訶摩訶』においては不思議と許せてしまう、むしろ「次はどんなバグが起きるのか？」と期待してしまう魅力があります。テキストが突然バグって解読不能になったり、グラフィックがおかしくなったりしても、このシュールな世界観の中では「これも演出の一つでは？」と思えてしまうのです。完璧に整備されたゲームでは味わえない、偶発的なハプニングすらも笑いに変えてしまう懐の深さが、このゲームには確かに存在します。

総評：完璧ではないからこそ愛される、唯一無二のRPG

『摩訶摩訶』は、決して万人受けする優等生的なゲームではありません。しかし、その独特なセンス、強烈なキャラクター、そして予期せぬ挙動も含めた全ての要素が、唯一無二の個性を形成しています。「ゲームはもっと自由でいいんだ」ということを、身をもって教えてくれる貴重な作品です。

もしあなたが、ありきたりな冒険に飽きてしまっているなら、ぜひこの摩訶不思議な世界に足を踏み入れてみてください。そこには、論理では説明できない笑いと、不思議な感動が待っています。記憶に残る「変なゲーム」を遊びたいなら、これ以上の選択肢はありません。