映画『弥生、三月 君を愛した30年』ネタバレ感想|すれ違う二人の奇跡と希望を描く名作

映画『弥生、三月 君を愛した30年』ネタバレ感想|すれ違う二人の奇跡と希望を描く名作
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こんにちは、yasuです。

長い人生の中で、振り返れば「運命」としか呼べないような出来事に遭遇することがあります。映画『弥生、三月 君を愛した30年』は、まさにそんな奇跡のような縁と、もどかしいほどのすれ違いを描いたラブストーリーです。遊川和彦監督が手掛けた本作は、男女の30年間にわたる軌跡を「3月の出来事」だけを切り取って紡ぐという、非常に斬新な構成で作られています。

波瑠さんと成田凌さんがダブル主演を務め、昭和、平成、令和という時代を背景に、一途な愛と人生の荒波が描かれます。テーマそのものは重く、時には辛い現実を突きつけられることもありますが、それを乗り越えた先には、必ず前を向いて歩き出せるような温かい希望が待っています。今回は、本作のあらすじや見どころ、そして心に残る名シーンについて、僕なりの視点でじっくりとレビューさせていただきます。

同じ日、同じ病院で生まれた二人の奇跡の始まり

本作の主人公は、波瑠さん演じる結城弥生と、成田凌さん演じる「サンタ」こと山田太郎です。二人の物語は1986年の高校時代から本格的に動き出しますが、実はそのもっと前から、彼らは強固な運命の糸で結ばれていました。

二人は同じ日に同じ病院で生まれ、しかも新生児室でのベッドがお隣同士だったという背景が語られます。この事実を知った時、すべてにおいて奇跡というものを感じずにはいられません。何十億という人間が生きるこの世界で、最初の呼吸を交わした瞬間から傍にいたという設定は、彼らの間に流れる理屈抜きの絆に深い説得力を持たせています。

それぞれに異なる環境で育ち、性格も対照的な二人ですが、この「奇跡のような始まり」があるからこそ、後の30年間におよぶ激動のドラマがより一層の重みを持って胸に迫ってくるのです。運命は時に残酷に二人を引き離しますが、根本で繋がっているという事実が、常に微かな光として物語を照らし続けています。

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過去と現在が美しくオーバーラップするバスの描写

作中で特に僕の印象に残っており、皆様にも注目していただきたいのが、バスを追いかける一連のシーンです。

学生時代、若さゆえの無邪気さや焦燥感とともにバスを追いかけていた頃の描写と、大人になってから様々なものを背負い、必死の形相でバスを追いかける描写が、映像の中で見事にオーバーラップします。同じ「走ってバスを追いかける」という行為でありながら、年齢を重ねたことによる肉体的な変化だけでなく、背負っている人生の重み、そしてその瞬間に抱えている感情の質が全く異なる様子が、痛いほどリアルに伝わってきます。

年月が経てば、人はどうしても老い、純粋だった頃のようには走れなくなってしまうかもしれません。しかし、その必死に走る姿には、何度挫折を味わい、打ちのめされても、大切なもののために前を向こうとする人間のたくましさが宿っています。この過去と現在を繋ぐ演出は、過ぎ去った日々のノスタルジーを呼び起こすとともに、今を懸命に生きるすべての人への力強いエールにもなっています。

ご視聴前に知っておきたい震災の描写について

本作を鑑賞するにあたり、事前にお伝えしておきたい大切な配慮事項があります。

物語が進行する中で、東日本大震災の地震や津波を想起させる直接的な描写が含まれています。当時の記憶が鮮明に残っている方や、こうした映像に強いショックを受けやすい方は、少しご不安に感じられるかもしれません。もし辛いと感じた場合は、無理をせずに視聴を止める勇気を持つことも大切です。

ただ、ここで補足しておきたいのは、作品はその悲しみや絶望だけを描いて終わるわけではないということです。突然の喪失という深い悲痛を抱えながらも、残された人間がどのようにして再び光を見出し、他者との関わりの中で再生していくのかという、力強く前向きなメッセージにしっかりと繋がっていく構成になっています。深い絶望を知るからこそ、その後に訪れる救いがより温かく感じられるはずです。ご自身の心と体調にご相談の上で、無理のない範囲でこの物語を受け取っていただければ幸いです。

Warning

ここから先は、物語の核心に触れるネタバレが含まれます。

まだ作品をご覧になっていない方は、ここで前のページに戻るか、視聴後に改めてお読みいただくことをおすすめします。

30年間のすれ違いと、ドラマティックな本屋での再会

お互いに強く惹かれ合っていながらも、弥生と太郎は30年もの間、すれ違いの人生を歩むことになります。その決定的な要因となったのが、杉咲花さん演じる二人の親友・サクラの存在です。彼女を病気で亡くした深い悲しみと、サクラが太郎に寄せていた想いを知っていたからこそ、二人は自分の本当の気持ちに蓋をし、別々の人生を選択することになります。

夢を追いかけては破れ、別のパートナーと結婚しては別れ、さらには災害によって愛する家族を失う。彼らの30年間は、決して順風満帆とは言えない、むしろ過酷な試練の連続です。何度交差しかけては離れていく二人の軌跡は、観ていて非常に歯がゆく、どうしてこんなにも運命は意地悪なのかと切なさが募ります。

しかし、長い年月と数え切れないほどの涙を経て、ついに本屋での再会を果たすシーンは、まさにドラマティックの一言に尽きます。多くの言葉を交わす必要もなく、視線が絡み合った瞬間に、空白の時間が一気に埋まっていくようなあの空間。これまで彼らが経験してきたすべての苦難や遠回りが、この瞬間のために用意されていたのだと思えるほど、見ているこちらの心も救われるような深いカタルシスを与えてくれます。諦めなければ、想いは必ず届くという静かな証明を見せられた気がしました。

重いテーマの中で光る、二人が揃った時のほっこりする瞬間

親友の病死、自身の夢の挫折、望まぬ結婚と離婚、そして容赦なく襲いかかる災害による死別。振り返ってみると、本作のテーマは終始重く、胸が締め付けられるようなシビアな展開が続きます。時には、次々と主人公たちに降りかかる人生の不条理さに、目を背けたくなることもあるかもしれません。

しかし、そんな過酷な現実の中にあっても、不思議なことに、弥生と太郎が二人揃って会話をしているその場だけは、なんだかほっこりするような温かい空気が流れるのです。学生時代と変わらない気の置けない幼馴染としての軽妙なやり取りや、互いの弱さを深く理解し合っているからこそ出る、飾らない言葉の数々。どれだけ暗いトンネルの中を歩いていても、二人が顔を突き合わせていれば、そこには確実に柔らかな笑顔と安らぎが存在しています。

周囲の環境がどれほど厳しくても、自分を心から理解してくれる人が一人でもいれば、人はなんとか生きていける。暗闇が深いほど、そこに灯るささやかな関係性の温かさがより一層際立ち、私たちの心に染み渡るのです。

皆さまの「3月」がもっと愛おしくなる作品

人生は決して楽しいことばかりではなく、時には取り返しのつかない後悔や、癒えることのない深い悲しみに包まれることもあります。しかし、弥生と太郎の不器用で真っ直ぐな30年を見届けると、どんな遠回りをしても、どんなに傷ついても、誰かを想い続ける強さが、必ず明日への希望に繋がっていくのだと気付かされます。

もし、今皆さまが人間関係や人生の選択に悩み、立ち止まっているのなら、本作がそっと心に寄り添い、少しだけ前へ進むための背中を押してくれるはずです。別れと出会いの季節である「3月」を迎えるたびに、この映画の温かな余韻を思い出すことになるでしょう。

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Wrote this article この記事を書いた人

yasu

yasu

YASU GAME LIFE CHANNELのyasu本人によるブログです。乙女ゲーム好きな実況者です。皆と居心地の良いストレスのない場所を作るのが目標です。今までの動画・ライブ配信のまとめだったり、日々の想いを綴ります。 ※当ブログはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載することがあります。

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