
こんにちは、yasuです。
皆さまは、過去に見逃してしまって「なぜ当時、リアルタイムで見なかったんだ」と激しく後悔したドラマはありますか。
僕は最近、まさにその体験をしました。
きっかけは、TVerで開催されていた「フジドラwinter」というキャンペーン。何気なく再生ボタンを押したその作品が、僕の心の奥底にあった澱のような感情を、これほどまでに優しくすくい上げてくれるとは思いもしませんでした。
そのドラマのタイトルは、『いちばんすきな花』。
2023年の秋に放送されていたこの作品。当時は忙しさにかまけてスルーしてしまったのですが、全話を視聴し終えた今、僕の中では「今まで見たドラマの中で5本の指に入るくらい好きな世界観」でした。
今回は、このドラマがいかに素晴らしいか、そして「生きづらさ」を感じている僕たちが、この作品からどのように救いを受け取ることができるのかを、じっくりと綴っていきたいと思います。
もし皆さまが、日々の生活の中でどこか居心地の悪さを感じているなら、この記事が少しでも心の休憩所になれば幸いです。
今までで5本の指に入る傑作。TVer「フジドラwinter」で出会った運命のドラマ
正直に言うと、第1話を見始めたときは、これほどハマるとは予想していませんでした。
しかし、物語が進むにつれて、画面から漂う空気感、ライティング、そして登場人物たちの「間」に、どうしようもなく惹きつけられている自分がいました。
僕がこのドラマを「5本の指に入る」と断言する理由は、その圧倒的な「静謐(せいひつ)な美しさ」にあります。ドラマ特有の派手な演出や過剰なBGMはほとんどありません。日常の延長線上にあるような、淡々とした会話と、生活音が響くだけです。
けれど、その静けさが心地よいのです。
TVerの「フジドラwinter」で見つけたことは偶然でしたが、今では運命だったとさえ感じています。もしリアルタイムで見ていたら、毎週の放送を待つ時間がもどかしくて仕方なかったでしょう。一気見できたことは幸運でしたが、同時に「あの時のSNSでの盛り上がりを共有したかった」という後悔も強く残っています。
それほどまでに、このドラマが持つ引力は凄まじいものでした。
「二人組」になれない4人の物語。恋愛を超えた居心地の良さとは
この物語の主人公は、年齢も性別も環境も違う4人の男女です。
塾講師のゆくえ(多部未華子)、美容師の夜々(今田美桜)、イラストレーターの紅葉(神尾楓珠)、そして出版社勤務の椿(松下洸平)。
彼らに共通しているのは、「二人組になるのが苦手」という悩み、そして社会の中で感じるそこはかとない「生きづらさ」です。
学校行事で「二人組を作ってください」と言われた時のあの焦燥感。大人になっても続く、集団の中での疎外感。そうした感情を抱えた4人が、ひょんなことから椿の家に集まり、不思議な共同体のような関係を築いていきます。
特筆すべきは、このドラマにおいて恋愛要素は主軸ではないという点です。
男女4人が集まれば、通常であれば多角関係の恋愛ドラマに発展しがちです。実際に作中でも恋愛のような感情が揺れ動く瞬間はありますが、それはあくまでスパイスであり、彼らが求めているのは「恋人」ではなく、「自分が自分らしくいられる居場所」なのです。
お互いの傷を舐め合うわけでもなく、無理に励まし合うわけでもない。ただ、美味しいお茶を飲み、とりとめのない会話を交わす。その距離感が、見ている僕たちにも心地よい安らぎを与えてくれます。
『silent』チームが再集結。言葉にならない感情を言語化する脚本の力
このドラマの魅力の根幹を支えているのは、社会現象を巻き起こしたドラマ『silent』のプロデューサー村瀬健さんと、脚本家生方美久さんのタッグです。
生方さんの脚本は、私たちが普段、喉元まで出かかっているけれど言葉にできない「名前のない感情」に、的確な言葉を与えてくれます。
例えば、「みんなと仲良くする」ことの正義に対する違和感や、「いい人」と言われることの残酷さ。そうした微細な心のひだを、登場人物たちがポツリポツリと語り合うシーンは、まるで自分の心を代弁されているような感覚に陥ります。
派手な事件は起きません。誰も死なないし、劇的なサクセスストーリーもありません。それでも、記事を書いて誰かに伝えたくなるほど、心の深い部分に刺さるのです。
それは、作り手が「人間の弱さ」に対して、徹底的に誠実に向き合っているからなのかもしれません。
中盤の衝撃。4人を繋いでいた「共通の知人」志木美鳥の存在
物語は中盤、静かながらも大きな転換点を迎えます。
それまで全く接点がないと思われていた4人の主人公たち。しかし、彼らの会話の中にたびたび登場する、過去に影響を受けた人物たちの話がつながり始めます。
そして判明する、驚愕の事実。
彼らがそれぞれ別の場所、別の時間で出会い、心に残していた人物は、なんと「志木美鳥(しきみどり)」という一人の女性だったのです。
この展開には鳥肌が立ちました。
ゆくえにとっては憧れの塾の先生、椿にとってはヤンチャだった同級生、夜々にとっては従姉妹のお姉ちゃん、紅葉にとっては高校の先生。
一人の人間が、関わる相手によって全く違う顔を見せている。それは決して嘘をついているわけではなく、人間関係のグラデーションそのものです。
バラバラだった4人の糸が、志木美鳥という一点で結ばれた瞬間、このドラマは単なる群像劇から、より深い人間讃歌へと昇華されました。
志木美鳥のエピソードが温かい。「違う人間」として記憶されていた真実
共通の知人・志木美鳥にまつわるエピソードは、どれも涙が出るほど優しくて暖かいものでした。
4人はそれぞれ、美鳥に対して異なる印象を持っていました。ある人は「かっこいい人」と言い、ある人は「暗い人」と言い、またある人は「頭のいい人」と言う。
しかし、ドラマが進むにつれて明らかになるのは、美鳥自身もまた、壮絶な「生きづらさ」を抱えて生きてきたという事実です。
居場所を求めて転々としてきた美鳥が、それぞれの場所で出会った4人に、無意識のうちに「救い」を与えていた。そして、4人が大人になって再会することで、今度は美鳥自身が救われていく。
「人は、見る人によって全然違う人間に見える」
この当たり前だけれど忘れがちな真実を、ドラマは丁寧に描きます。誰かにとっての悪役が、誰かにとってのヒーローかもしれない。そう考えるだけで、少しだけ世界が優しく見えてくる気がしませんか。
「生きにくいままでいい」。僕がこのドラマから受け取った救い
僕自身も、昔から集団行動が得意ではなく、どこに行っても「ここにいていいのだろうか」という不安を感じてしまうタイプです。ことコロナ禍以降、人と接する機会も極端に減ってなおさら。
社会に出れば「コミュ力」が求められ、空気を読むことが正解とされる日々。そんな中で、自分を殺して周りに合わせようと必死になってきました。
けれど、このドラマはそんな僕に語りかけてくれます。
「生きにくいままでいいんだよ」「生きにくいと思っている人はたくさんいるんだよ」と。
無理に性格を変えたり、誰かと仲良くしようと努力したりしなくていい。ただ、自分が呼吸しやすい場所を見つければいい。もし見つからなければ、逃げてもいいし、間違ってもいい。
ドラマの中で、椿の家(通称・椿ハウス)に集まる4人の姿を見ていると、「正解の生き方」なんてないのだと痛感します。
彼らは社会的には「ちょっと面倒くさい人たち」かもしれません。でも、彼らだけの世界では、その面倒くささが愛おしさになります。
欠点は直すべきものではなく、合う人と出会えばパズルのピースのようにカチッとはまる。
このメッセージを受け取った時、僕は肩の荷が下りたような、少し救いをもらった気がしました。皆さまももし、自分の性格に悩んでいるなら、それは皆さまが悪いのではなく、まだ「合う場所」や「合う人」に出会っていないだけかもしれません。
藤井風『花』がドラマの世界観を完成させる。最終回サプライズの衝撃
このドラマを語る上で欠かせないのが、藤井風さんが書き下ろした主題歌『花』です。
ドラマのエンディング、絶妙なタイミングで流れるイントロ。シンプルながらも深淵なピアノの旋律と、藤井風さんの包容力のある歌声が、物語の余韻を何倍にも増幅させてくれます。
「花」というタイトルでありながら、歌詞には「枯れていく」ことや「内なる花を探す」ことへの言及があり、ドラマのテーマである「自分自身の肯定」と完璧にリンクしていました。
主題歌がドラマの雰囲気にここまでマッチしている作品は稀有です。
そして、何と言っても最終回です。
まさか、ドラマ本編に藤井風さんご本人が出演されるとは誰が予想できたでしょうか。椿ハウスのピアノで、主題歌を弾き語りするシーン。
それは演技ではなく、ドキュメンタリーのような、あるいは夢のような美しい映像でした。ドラマのフィクションの世界と、現実の音楽が溶け合う瞬間を目撃し、言葉を失った気持ちがしました。
このサプライズも含めて、制作陣の作品への愛を感じずにはいられません。
最後まで淡々と進むが退屈なわけではなくあっという間
全11話を通して、このドラマは終始淡々と進みます。
大きな事件で引っ張るわけでも、激しい対立構造があるわけでもありません。人によっては「何も起きない」と感じるかもしれません。
しかし、決して退屈なわけではないのです。
特に、物語の終盤、椿ハウスから引っ越しをする当日のエピソードは忘れられません。
荷物が運び出され、少し広くなった部屋で過ごす最後の時間。ただそれだけのシーンなのに、なんだか自分のことのように寂しさを覚えました。それだけ、画面越しに伝わってくる4人の空気感が濃密で、僕自身もいつの間にかあの家の住人の一人になっていたのだと思います。
登場人物たちの心の動きがあまりにも丁寧で、1時間の放送があっという間に感じられました。派手なジェットコースターのようなドラマも楽しいですが、静かに流れる川のような、じっくりと心に浸透してくるドラマこそ、長く記憶に残るのかもしれません。
最終回を見終わったあと、軽くロスに
最終回を見終えた後、僕はしばらくテレビの前から動けませんでした。
いわゆる「すき花ロス」です。
彼らがもう、毎週木曜日にあの家に集まっていないのかと思うと、自分の友人と会えなくなったような寂しさが込み上げてきました。
ドラマとしての結末は、4人がこれからもそれぞれの人生を歩んでいくことを示唆するものでしたが、すべてがハッピーエンドで解決したわけではありません。生きづらさは続くかもしれないし、悩みは尽きないかもしれない。
それでも、「一人じゃない」と思えるだけで人は強くなれる。
そんな温かい余韻を残してくれたこの作品に、心から感謝しています。軽くロスにはなりましたが、それはとても心地よい喪失感でもあります。なぜなら、最近はなにかと配信サービスで、あの椿ハウスを訪れることができるからです。
もし、まだこのドラマを見ていない方がいれば、あるいは途中で見るのを止めてしまった方がいれば、ぜひ一度、この優しい世界に触れてみてください。
きっと、皆さまの中にある「名前のない感情」を、彼らが優しく抱きしめてくれるはずです。
「いちばんすきな花」は、僕にとって、そして多くの生きづらさを抱える人にとって、人生のお守りのようなドラマになりました。
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Wrote this article この記事を書いた人
yasu
YASU GAME LIFE CHANNELのyasu本人によるブログです。乙女ゲーム好きな実況者です。皆と居心地の良いストレスのない場所を作るのが目標です。今までの動画・ライブ配信のまとめだったり、日々の想いを綴ります。 ※当ブログはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載することがあります。