
こんにちは、yasuです。
日々の仕事や生活に追われていると、話題のドラマをリアルタイムで追うのが難しいこともありますよね。僕もまさにその一人で、ずっと気になりながらも見逃していた作品がありました。
それが、ドラマ『海のはじまり』です。
少し遅れてしまいましたが、まとまった時間が取れたので、じっくりとこの物語に向き合ってみることにしました。視聴を終えた今、画面の前で動けなくなるほどの余韻と、胸の奥をぎゅっと掴まれるような感覚に包まれています。
このドラマは、社会現象となった『silent』や、僕も大好きだった『いちばんすきな花』を手掛けた脚本家・生方美久さんとプロデューサー・村瀬健さんが再タッグを組んだ作品です。
制作陣の名前を見ただけで「ただの恋愛ドラマやホームドラマでは終わらないだろう」と覚悟はしていましたが、その予想は良い意味で裏切られ、想像以上に深く、鋭く、そして優しい物語でした。
今回は、ある事情で「父」となった僕自身の経験も少し交えながら、この『海のはじまり』という作品が問いかけるものについて、感想と考察を綴っていきたいと思います。
前半はネタバレなしで、後半からは物語の核心に触れていきますので、未視聴の方も安心してお読みください。
【ネタバレなし】大人には見えなくなった純粋さと、残酷な現実
物語は、主人公の月岡夏(目黒蓮さん)が、大学時代に交際していた元恋人・南雲水季(古川琴音さん)の葬儀に参列するところから動き出します。そこで夏は、自分と水季の間に生まれた娘、海(泉谷星奈ちゃん)の存在を初めて知らされるのです。
突然、自分に娘がいることを知り、そして、その娘は母親を失った現実を突きつけられた夏。そして、現在の恋人である百瀬弥生(有村架純さん)や、周囲の人々の心が複雑に絡み合っていきます。
まず圧倒されたのは、キャスト全員の演技力の高さです。目黒蓮さんの、戸惑いながらも現実を受け入れようとする繊細な目の動き。有村架純さんの、優しさの中に隠した強さと脆さ。そして何より、子役の泉谷星奈ちゃんが演じる海ちゃんの存在感です。
ドラマを見ていると、大人にはわからなくなってしまった子供特有の純粋さや、それゆえの残酷さが痛いほど伝わってきます。子供は嘘をつかないし、感情をストレートにぶつけてきます。それは時に、大人が必死に隠してきた蓋をこじ開けるような鋭さを持っています。
「知らなかった」とはいえ、7年間という空白の時間に対する夏の後悔。自分ではない誰かからその事実を突きつけられる痛み。そして、自分自身の無力感。
これらが静かな映像美と共に描かれ、見る人の心の柔らかな部分を刺激します。
【ネタバレなし】継父として、夏に自分を重ねてしまった理由
僕がこのドラマにこれほど強く惹かれたのは、正直に言うと、僕自身の人生と少し重なる部分があったからなのかもしれません。
僕も、血の繋がらない息子を持つ父親です。息子が小学校を卒業する間際に、僕は彼の母である妻と結婚し、彼にとっての「父」となりました。
ドラマの中で夏が直面する葛藤を見るたびに、当時の自分の感情がフラッシュバックするようでした。血は繋がっていない。だからこそ、必要以上に「父親」になろうとしてしまったこと。
「正しい父親でなければならない」と気負うあまり、本人とも、妻とも、そして義理の実家とも関係が険悪になってしまった時期がありました。ふとした瞬間に感じる、血の繋がりに起因する疎外感。「父親は、自分じゃなくてもいいんじゃないか」と、無力感に襲われた夜も一度や二度ではありませんでした。
海ちゃんのように、天真爛漫に振る舞う子供を見ると、「もっと自由にしてあげられたらよかったのかもしれないな」と、今でも胸が痛むことがあります。結果的に、僕が選んだ接し方が正しかったのか、間違っていたのか。それは今でもわかりません。
けれど、『海のはじまり』というドラマは、そんな僕の迷いを優しく肯定してくれたように感じます。
この物語では、「何が正しいか、間違っているか」には決して言及していません。ただ淡々と、「本当にそれぞれ正解は違うんだよ」と教えてくれているのです。
家族の形に決まった正解はない。血の繋がりがあってもなくても、悩み、ぶつかり、それでも一緒にいたいと願う気持ちこそが尊いのだと、改めて気付かされました。
【ネタバレあり】水季を変えたのは、会ったこともない弥生だった
物語が進むにつれて明らかになる事実の中で、最も心を揺さぶられたのは、水季と弥生の不思議な縁でした。
生方美久さんの脚本の特徴とも言えるのが、「会ったこともない、知りもしない他人同士が、どこか不思議な縁で繋がっている」、そういった繊細な描写なんじゃないかなって思います。
かつて中絶を経験し、その悲しみ、罪悪感を抱えて生きてきた弥生。そして、一度は中絶を決意し、病院を訪れていた水季。
頑固で、滅多に他人に影響されなかった水季の心を動かし、海ちゃんを産む決意をさせたのは、実は弥生が産婦人科のノートに残した言葉でした。
「どちらを選択しても、それがあなたの幸せであることを願います」
顔も知らない誰かの、心からの言葉が、一人の命を救い、そしてその命が巡り巡って弥生の元へと現れる。この因果の描き方には鳥肌が立ちました。
そして終盤、水季は、自分がいなくなった後に、夏が海ちゃんの父親になると決意したときに読んでもらうために手紙を用意していました。夏に恋人がいることを知っていた水季は、その手紙の中に、名前も知らない夏への恋人宛の手紙も用意します。つまり弥生宛の手紙です。そこに水季は、かつて産婦人科のノートに書かれていた、自身が変わるきっかけとなった言葉を綴っていました。
自分の書いた言葉が、時を越えて自分のところに伝わってくる。直接言葉を交わしたことがない二人は、確かに魂の部分で共鳴し、影響し合っていたのです。
誰かの何気ない優しさが、知らないところで誰かの人生を支えている。そんな希望を感じさせてくれる、切なくも温かいエピソードでした。
【ネタバレあり】夏と弥生が選んだ「別れ」の意味
だからこそ、最終的に夏と弥生が別々の道を選んだことには、涙を隠しきれませんでした。
多くの視聴者が「二人で海ちゃんの側にいる未来」を夢見たと思います。しかし、弥生は「母親」になることではなく、自分の人生を大切にすることを選びました。
それは決して逃げではなく、自分自身と、そして海ちゃんの両方を尊重するための、痛みを伴う誠実な決断だったように思います。
好き同士なのに、別れなければならない。選ばなかった未来への未練や後悔。それを飲み込んで、前に進もうとする二人の姿は、あまりにも切なく、けれど美しかったです。
「二人でいたほうが楽だったかもしれない」そんな思いがよぎることもあるでしょう。でも、彼らは安易なハッピーエンドではなく、それぞれの足で立つことを選びました。そのリアリティこそが、このドラマが僕たちに突きつける「痛み」であり、同時に「信頼」なのだと思います。
【ネタバレあり】特別編で見えた、水季と津野くんの「もしも」
本編がクライマックスに向けて進む中で放送された「特別編」についても触れておかなければなりません。水季と、彼女を支え続けた図書館の同僚・津野くん(池松壮亮さん)の物語です。
本編では、どこか報われない立ち位置に見えた津野くん。しかし特別編を見ることで、二人が確実に惹かれ合っていたことがはっきりとわかりました。
津野くんの不器用な優しさと、それに救われていた水季。もし運命が違っていれば、夏ではなく津野くんと三人家族になっていた未来もあったのかもしれません。
「三人家族になった姿も見てみたかった」そう思わずにはいられないほど、二人の時間は温かく、そして切ないものでした。叶わなかった恋、選ばれなかった選択肢にも、確かな愛があったことを丁寧に描いてくれた制作陣に感謝したいです。
本編の水季が亡くなった瞬間の、津野くんの言葉にならない嗚咽が思い出されます。想像もできないほど、積み重ねられたものがあったからこその嗚咽だったんだなと、この特別編を見てさらに胸が痛くなりました。
人の痛みと温かさを描いた傑作として
最後に、ドラマファンとして嬉しかった演出にも触れておきます。終盤にドラマ『いちばんすきな花』劇中に登場する美容室に訪れるシーンがありました。友情出演として、「深雪夜々(今田美桜さん)」が出演するというサプライズも。この作品がドラマ『いちばんすきな花』と同じ世界線であることが示唆されました。こうした遊び心も、見た人が見たら嬉しい素敵な演出ですよね。
後々気付いたのですが、ドラマ『いちばんすきな花』で「深雪夜々」の幼少期を「泉谷星奈ちゃん」が演じてくれていました。そう、『海のはじまり』の海ちゃん役です。そういった繋がりがあって、今田美桜さんも出演してくれたのかもしれないですね。
『海のはじまり』は、決して派手な物語ではありません。殺人事件も起きなければ、奇跡的な魔法も起きない。
けれど、そこには「人のあらゆる角度からの痛み」があり、それを包み込む「温かさ」がありました。
悔やんでもどうしようもない過去への後悔。親になることへの不安と責任。血の繋がりの有無に翻弄される心。
それらすべてを否定せず、「それでも生きていくんだよ」と背中をさすってくれるようなドラマでした。
もし、今皆さまが家族のことや、人間関係で悩んでいるとしたら、ぜひこのドラマを見てみてください。明確な答えは出ないかもしれません。でも、「迷っているのは自分だけじゃない」と思えるだけで、心が少し軽くなるはずです。
僕自身、このドラマを通して、過去の自分を少しだけ許せたような気がしています。正解なんてない。だからこそ、今日を大切に生きていこうと思います。
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Wrote this article この記事を書いた人
yasu
YASU GAME LIFE CHANNELのyasu本人によるブログです。乙女ゲーム好きな実況者です。皆と居心地の良いストレスのない場所を作るのが目標です。今までの動画・ライブ配信のまとめだったり、日々の想いを綴ります。 ※当ブログはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載することがあります。