【クリア後感想】空の軌跡FC Evolutionレビュー｜エステルとヨシュア、感動の原点を遊ぶ

こんにちは、yasuです。

日本ファルコムが誇る大巨編RPG「軌跡シリーズ」。その記念すべき第一作目であり、すべての始まりとなる『英雄伝説 空の軌跡FC』。

PS Vita向けにリメイクされた本作は、オリジナル版の良さをそのままに、豪華声優陣によるフルボイス化やBGMのアレンジ、グラフィックの強化が施された「決定版」と言える作品となっています。それが『英雄伝説 空の軌跡FC Evolution』です。

軌跡シリーズ初プレイだった僕にとって、この作品に出会えたのは衝撃でした。本作をプレイした感想と、色褪せないその魅力についてレビューしていきます。

ゲームのボリューム：圧倒的な密度で描かれるゲームボリューム

タイトルの「FC」は「First Chapter」を意味しており、続編ありきの前編という位置づけではありますが、そのボリュームは一本のRPGとして十分に完結しているほど巨大です。

メインストーリーを追うだけでもクリアまで40〜50時間は要しますが、本作の真骨頂は寄り道要素にあります。「遊撃士（ブレイサー）」としてのサブクエストの豊富さはもちろん、ストーリーが進行するたびに、街にいるすべてのNPC（村人たち）の会話内容が変化するという狂気的な作り込みがなされています。僕もさすがにプレイ中すべてを追うことはできなかったほどです。

彼ら一人ひとりに生活があり、小さなドラマがあります。それらを楽しみながら丁寧にプレイすれば、プレイ時間は優に60〜100時間を超えるでしょう。「前編だから短い」という心配は一切無用の、満足度の高いボリューム感が約束されています。

ゲーム内容：王道かつ洗練されたシステム

物語の舞台は、導力器（オーブメント）と呼ばれる技術が発達したリベール王国。主人公のエステルとヨシュアが、民間人の安全と平和を守る「遊撃士」となり、王国全土を旅しながら成長していく姿が描かれます。

システム面では、行動順が鍵を握るコマンドバトルが特徴です。オーソドックスなコマンドバトルかと思いきや、いつ誰に行動順が回ってくるかをATバーで視覚的に確認しながら、魔法（アーツ）や技（クラフト）を駆使して戦況を有利に進める戦略性は、シンプルながら非常に奥深いものがあります。

また、「Evolution」版ならではの要素として、UIの刷新やオート戦闘の倍速機能などが追加されており、現代のゲーム環境に慣れたプレイヤーでもストレスなく遊べるよう最適化されています。特にフルボイス化の効果は絶大で、テキストを読むだけでは味わえない臨場感とキャラクターへの感情移入を強力に後押ししてくれます。

感想：長期間続く感動的シリーズの原点、エステルとヨシュアの物語

クリアして感じたのは、「この二人の物語は特別だ」という想いです。明るく太陽のようなエステルと、冷静でどこか影のあるヨシュア。最初は未熟だった二人が、旅を通じて多くの人と出会い、困難を乗り越え、互いに支え合いながら成長していく過程は、涙なしには見られません。

まさに、長期間続く感動的シリーズの原点、エステルとヨシュアの物語として、これ以上ない完璧なスタート地点だと確信しました。特に終盤の展開は、RPG史に残るほどの衝撃と切なさに満ちており、エンディングを迎えた瞬間、思わず絶句しました。彼らの旅の続きを見届けずにはいられなくなります。

また、ハーモニカの音色が印象的な主題歌『星の在り処』が流れるシーンは鳥肌モノです。キャラクター同士の掛け合いのテンポも良く、コミカルなシーンとシリアスなシーンのバランスが絶妙で、プレイしていて常に心が動かされる体験でした。

総評：今なお色褪せないJRPGの金字塔

『英雄伝説 空の軌跡FC Evolution』は、古き良きJRPGの温かさと、洗練されたストーリーテリングが見事に融合した傑作です。グラフィックこそ最新の3Dゲームには及びませんが、ドット絵の面影を残したキャラクター演技や、緻密な世界観の描写は、今遊んでも全く古臭さを感じさせません。

「軌跡シリーズ」に興味があるけれど作品数が多くて躊躇している方は、迷わずここから始めてください。エステルとヨシュアの旅立ちを見届けることは、数あるRPGの中でも極上の体験となるはずです。心温まる、けれど壮大な冒険を求めているすべての人におすすめします。

また、昨今『空の軌跡FC』がついに現行機で遊べるように完全リメイクされたことも話題になっております。その名も、『空の軌跡 the 1st』。声優陣一部変わっていますが、濃厚な物語はきっと健在。一度楽しんでみてはいかがでしょうか。